取り消し?意外と知らない野球のルール(ボーク編)
9月23日のソフトバンク-オリックス戦で一度宣言されたボークが取り消されたことを覚えていますか?
今回は意外と知らないボークのルールについて説明していこうと思います。
ボークとは
我々が良く見るボークは、セットポジション時に完全に停止しないで投球を行った際のボークだと思います。
来日したばかりの助っ人外国人投手が最初にぶつかる日本野球の壁としてお馴染みのやつですね。
そしてこのボークが宣言された時、ランナーは自動的に1塁進める権利を得ることができます。
っていうのは野球を見てると何となく分かることでしょう。
でもそもそもボークって何?と聞かれたら、答えるのは意外と難しいのではないでしょうか。
ボークとは、「ランナーがいる時の、投手の違反行為」の事を指します。
(ちなみに英語ではbalkと書きます)
ピッチャーと言うのは、ランナー出ると様々な工夫で次の塁に進ませまいとします。
牽制とかクイックとかですね。
ただし、この工夫の度が過ぎるとランナーを騙してしまうことになるので、それはフェアじゃないよね、ということでボークが宣言されます。
つまり、ちょっと雑ですが「ピッチャーがランナーを騙そうとしたら」、ボークになってしまうと覚えておくと良いかと思います。
ボークとなるプレー
では、
「ランナーがいる時の、投手の違反行為」
と言うのは、具体的にはどのようなプレーを指すのでしょうか?
公認野球規則によると、投手のボークは全部で13項目あります。
(1) 投手板に触れている投手が、投球に関連する動作を起こしながら、投球を中止した場合。
(2) 投手板に触れている投手が、一塁または三塁に送球するまねだけをして、実際に送球しなかった場合。
(3) 投手板に触れている投手が、塁に送球する前に、足を直接その塁の方向に踏み出さなかった場合。
(4)投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合。ただし、プレイの必要があればさしつかえない。
(5) 投手が反則投球をした場合。
(6) 投手が打者に正対しないうちに投球した場合。
(7) 投手が投手板に触れないで、投球に関連する動作をした場合。
(8) 投手が不必要に試合を遅延させた場合。
(9) 投手がボールを持たないで、投手板に立つか、これをまたいで立つか、あるいは投手板を離れていて投球するまねをした場合。
(10) 投手が正規の投球姿勢を取った後、実際に投球するか、塁に送球する場合を除いて、ボールから一方の手を離した場合。
(11) 投手板に触れている投手が、故意であろうと偶然であろうと、ボールを落とした場合。
(12) 故意死球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。
(13) 投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合公認野球規則2018 6.02 より引用
最もよく見る、完全に止まらないで投球した時のボークは13番ですね。
本当はキャッチャー由来のボークも1つだけあるのですが、ここでは割愛します。
(気になる人は公認野球規則の6.01(g)に記載があるので調べてみて下さい)
今回の対象はどのプレー?
では実際に今回話題になったボーク取り消しのシーンを見てみましょう。
0:10くらいが問題のシーンです。
グラシアル選手がタイムを要求しましたが、審判が認めずにプレー続行。
ですが、グラシアル選手がバッターボックスを外しているのを見た田嶋選手は投球を止めてしまいました。
投球動作の中止は先程の(1)に該当するため、審判はボークを宣言しました。
が、その後に「双方がルール違反をしているため、ランナーを戻して再開する」という説明が審判よりなされました。
つまりボークが無かったことになったのですが、公認野球規則のボークの項目にはボークの取り消しについては言及されていません。
ボークの取り消し
さて、先の「双方がルール違反」とはどういうことでしょう。
双方、というのは投手と打者を指すのは明らかで、投手のルール違反は投球動作を途中で止めたことです。
では打者はどんなルール違反をしたのでしょうか。
公認野球規則によると、
打者は、投手がセットポジションをとるか、またはワインドアップを始めた場合には、バッターボックスの外に出たり、打撃姿勢をやめることは許されない。公認野球規則2018 5.04 より引用
というルールがあります。おそらくこのことでしょう。
そしてその後に、このシーンにドンピシャな記述を見つけました。
走者が塁にいるとき、投手がワインドアップを始めたり、セットポジションをとった後、打者が打者席から出たり、打撃姿勢をやめたのにつられて投球を果たさなかった場合、審判員はボークを宣告してはならない。投手と打者との両者が規則違反をしているので、審判員はタイムを宣告して、投手も打者もあらためて"出発点"からやり直させる。公認野球規則2018 5.04 より引用
とありました。
まさに今回のシーンと同じですね。
まとめ
今回、そもそもボークとは何ぞやといったところから、ボークの対象となるプレー、打者のルール違反について見ていきました。
今回取り上げたシーンの答えとしては、規則にズバリそのものな記述があったのでそれに則った、が正解となります。
以上、今回はボークについて取り上げてみました。
前回はバント時に足が出てたらどうなるの?というテーマでまとめた記事もあるので、よろしければそちらも見て頂けると嬉しいです。
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