しおすけぶろぐ

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アウト?セーフ?意外と知らない野球のルール (バッターボックス編)

今回は野球のルールについて書いていこうと思います。

今回取り上げるのは、8/25(火)に行われた北海道日本ハムファイターズ vs 埼玉西武ライオンズです。
こんな1シーンがありました。


【本盗いけた!!?】ビヤヌエバ『超速ロケットスタート』

ビヤヌエバ、はやっ!!
....ではなく、今回の焦点はバッターボックスの中島卓選手です。
よくよく見てみると、スクイズ時に左足がバッターボックスから出ているように見えます。(0:30あたりが分かりやすいと思います)
バッターボックスから足がはみ出していたらバッターはアウト、というルールは割と有名かとは思います。
じゃあ、今回のケースもアウトじゃないの?と思う方もいらっしゃるでしょう。
私もアウトだと思いました。が、実際はアウトになっていません。*1
何故?と思ったので色々調べてみました!

 

バッターボックスでのルール

先述したように、バッターボックスから足がはみ出るとアウト、というルールは有名かと思いますが実際はもっと細かくルール決めがされています。
公式のルールブック(公認野球規則)では、5.04 打者 の項目にいくつか記述がありますので、一部を抜粋して紹介します。

(b) 打者の義務

 (2) 打者は、投手がセットポジションをとるか、またはワインドアップを始めた場合には、バッタースボックスの外に出たり、打撃姿勢をやめることは許されない。

(中略)

 (5) 打者は、正規の打撃姿勢をとるためには、バッタースボックスの内にその両足を置くことが必要である。

[規則説明] バッタースボックスのラインは、バッタースボックスの一部である。

上記から、バッターが構えをとったらバッターボックスから足を出すことは許可されていないのがわかります。(ライン上はセーフ)
動画を見てみると、構えの段階でははみ出ていません。
実はこの打者の項では、これ以上のことは書かれておらず、打った時にはみ出していたらどうなるのか、というルールは6.00 反則行為の項に書かれています。

反則打球

6.03 打者の反則行為で次のように書かれています。

次の場合、打者は反則行為でアウトになる。

(1) 打者が片足または両足を完全にバッタースボックスの外に置いて打った場合。

今回のケースはこれですね。
スクイズの瞬間、左足が完全にバッターボックスからはみ出ています。
でも実際はアウトになっていないので、もしかしたらバッターボックスのラインを踏んでいてはみ出てないのかも?
と思い、動画を見てたところ、左足がとあるラインを踏んでいることがわかります。

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※サイズや距離感などは正確性に欠けます。ご了承ください。

上図のラインです。もしかしてこのラインもバッターボックスの一部なのでは?
と思ったのですが、このラインはキャッチャースボックスのラインでしたので、バッターボックスの一部ではありません。
なので、今回のスクイズ時には"左足が完全にバッターボックスからはみ出た状態"だったと捉えることができます。
では、なぜアウトにならなかったのでしょうか。

アピールプレイ?抗議

アウトにならなかった理由としては下記が考えられます。
 ・アピールできなかった
 ・抗議できなかった
 ・審判が見ていなかった

アピールプレイは、例えば犠牲フライ時のタッチアップが早かった場合に守備側のチームが審判に対して行うことができるプレイの一種ですが、アピールプレイとなる対象のプレイは限られており今回のケースはアピールプレイの対象とはなりません。
仮に今回のプレイがアピールプレイの対象だった場合は、おそらくキャッチャーの森選手が審判に対してアピールしていればアウトになったと思います。
ただ、アピールプレイの対象外だとしても気付いていれば何らかのアクション(監督にジェスチャーで知らせる、等)を取ったと思うので、森選手も気付いていなかったのでしょう。

続く抗議は、審判の判断に対して守備側チームの監督が異議申し立てを行うことができる権利です。基本的に監督だけですので、何もしなかったところを見ると監督も気付いていなかったと思います。
まぁ、ベンチからバッターボックスまでは結構距離があるので気付くのはなかなか難しいと思います。

3番目、審判が気付いていなかった。
これが1番可能性が高いと思います。
と言うのも、審判とバッターの間にはキャッチャーがいますし、何よりスクイズ時の左足は限りなくキャッチャーに寄っています。
そのため、審判からはバッターの左足が見えなかったのでしょう。

結論

結論としては、

ルール上は反則打球でアウトだが、審判が気付いていなかったためアウトにならなかった

です。

 

さて、私なりにルールブックと動画を突き合わせてみながら、今回のプレイを解釈してみましたがいかがでしたでしょうか。
なるほど、と思っていただけたなら嬉しいです。

今回参考にしたルールブックは以下の2つです。

公認野球規則 2018 Official Baseball Rules

公認野球規則 2018 Official Baseball Rules

  • 発売日: 2018/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

私が持っているのは2018年番ですが、最新は2020年度版なので、これから買おうと思っている方は最新版をおすすめします。 

わかりやすい野球のルール (スポーツシリーズ)

わかりやすい野球のルール (スポーツシリーズ)

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 新書
 

こちらは野球規則を写真やイラストで分かりやすく解説してくれています。
公認野球規則は文章のみなので、こちらも手元に置いておくと、より一層理解が深まると思います。

 

おまけ

打つときにバッターボックスからはみ出た、はみ出てないの議論で有名なのはやはり阪神時代の新庄選手でしょう。
敬遠球を打ってサヨナラ!のあの試合です。
あの試合、打たれた側はバッターボックスから完全に出ていたからアウトだ、と主張していましたが、上記のルールを頭に入れたうえで改めて見てみるといかがでしょうか?


新庄剛志 敬遠球をサヨナラヒット! intentional walk hit

0:25あたりが該当シーンです。
見づらいかとは思いますが、新庄選手の踏み出した左足がバッターボックスのラインを踏んでいるのがわかります。
つまり、ルール上は完全にはみ出していないので反則打球ではありません。
なのでセーフということになります。

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*1:普通にファーストでアウトになりましたが、足がはみ出たことによるアウトではない、という意味です